====== PSR-6: Caching Interface ====== --- //[[http://www.y2sunlight.com|y2sunlight]] 2020-05-19// 本章は、若干の補足を加筆してはいるものの単に[[https://www.php-fig.org/psr/|PSRのサイト]]を日本語に翻訳したものに過ぎません。英語が堪能な方は原文をご参照下さい。翻訳に当たっては、基本的に機械翻訳を使い、理解できない部分は独断で意訳しております。拙い訳では御座いますが恥を忍んで投稿しておりますので、ご指摘など御座いましたらコメントを頂ければ幸いです。 関連記事 * [[psr:top|PSR - PHP標準勧告]] * [[psr:psr1|PSR-1: Basic Coding Standard - 基本コーディング規約]] * [[psr:psr3|PSR-3: Logger Interface - ロガーインターフェイス]] * [[psr:psr4|PSR-4: Autoloading Standard - オートローディング規約]] * [[psr:psr5|PSR-5: PHPDoc Standard(Draft) - PHPDoc規約]] * PSR-6: Caching Interface - キャッシングインターフェイス * [[psr:psr7|PSR-7: HTTP Message Interface - HTTPメッセージインターフェイス]] * [[psr:psr11|PSR-11: Container Interface - コンテナインターフェイス]] * [[psr:psr12|PSR-12: Extended Coding Style - 拡張コーディングスタイル]] * [[psr:psr13|PSR-13: Link definition interfaces - リンク定義インターフェース]] * [[psr:psr14|PSR-14: Event Dispatcher - イベントディスパッチャー]] * [[psr:psr15|PSR-15: HTTP Server Request Handlers - HTTPサーバーリクエストハンドラー]] * [[psr:psr16|PSR-16: Common Interface for Caching Libraries - キャッシングライブラリのための共通インターフェース]] * [[psr:psr17|PSR-17: HTTP Factories - HTTPファクトリー]] * [[psr:psr18|PSR-18: HTTP Client - HTTPクライアント]] * [[psr:psr19|PSR-19: PHPDoc tags(Draft) - PHPDocタグ]] ----- ====== PSR-6: キャッシングインターフェイス ====== --- // 原文より翻訳 [[https://www.php-fig.org/psr/psr-6/|PSR-6: Caching Interface]] 2020-04-28 現在 // キャッシングは、プロジェクトのパフォーマンスを向上させる一般的な方法であり、キャッシングライブラリは多くのフレームワークとライブラリの最も一般的な機能の1つです。これにより、多くのライブラリが、さまざまなレベルの機能を備えた独自のキャッシュライブラリを動かし始める( //roll// )状況になりました。これらの違いにより、開発者が必要としている機能を提供いるか否かは別にして、複数のシステムを学習しなげればならない原因を引き起こしました。さらに、キャッシュライブラリの開発者は、限られた数のフレームワークのみをサポートするか、多数のアダプタークラスを作成するかの選択に直面しています。 キャッシングシステムの共通インターフェイスはこれらの問題を解決します。これによりライブラリとフレームワークの開発者は、キャッシングシステムが期待どおりに機能することを期待できます。同時に、キャッシングシステムの開発者は、さまざまなアダプターではなく、単一のインターフェイスセットを実装しなければならないだけです。 このドキュメントのキーワード ''MUST'' , ''MUST NOT'' , ''REQUIRED'' , ''SHALL'' , ''SHALL NOT'' , ''SHOULD'' , ''SHOULD NOT'' , ''RECOMMENDED'' , ''MAY'' 及び ''OPTIONAL'' は、 [[https://www.ietf.org/rfc/rfc2119.txt|RFC 2119]]で説明されているように解釈して下さい。 > **RFC 2119の説明** > ''MUST'', ''REQUIRED'', ''SHALL'' --- 絶対必要 > ''MUST NOT'', ''SHALL NOT'' --- 絶対禁止 > ''SHOULD'', ''RECOMMENDED'' --- 推奨(但し、無視できる特定の正当な理由が存在するかもしれない) > ''SHOULD NOT'' --- 推奨できない(但し、許可できる特定の正当な理由が存在するかもしれない) > ''MAY'', ''OPTIONAL'' --- オプション \\ ===== 目標 ===== このPSRの目標は、開発者がカスタム開発を必要とせずに既存のフレームワークおよびシステムに統合できるキャッシュ対応ライブラリを作成できるようにすることです。 \\ ===== 定義 ===== * **Calling Library** -- 実際にキャッシュサービスを必要とするライブラリまたはコード。このライブラリは、本規約のインターフェースを実装するキャッシングサービスを利用しますが、その他のキャッシングサービスの実装に関する知識は必要ありません。\\ \\ * **Implementing Library** -- Calling Library にキャッシングサービスを提供するために、このライブラリは本規約を実装する責任があります。Implementing Library は、Cache\CacheItemPoolInterface および Cache\CacheItemInterface インターフェースを実装するクラスを提供する必要があります (''MUST'')。Implementing Libraries では、1秒単位で 以下に説明するように、最小限のTTL (Time To Live) 機能をサポートする必要があります (''MUST'')。\\ \\ * **TTL** -- アイテムの残存期間(TTL:Time To Live)は、そのアイテムが保存されてから古くなったと見なされるまでの時間のことです。TTL は通常、秒単位の時間を表す整数、または DateInterval オブジェクトによって定義されます。\\ \\ * **有効期限** -- アイテムが古くなったと設定される実際の時間。これは通常、オブジェクトが格納された時刻に TTL を加算することで計算されますが、DateTime オブジェクトで明示的に設定することもできます。 300秒の TTL を持つアイテムが 1:30:00 に保存された時、その有効期限は 1:35:00 です。Implementing Library は、要求された有効期限の前にアイテムを期限切れにすることができます (''MAY'')。ただし、有効期限に達したら、アイテムは期限切れとして扱う必要があります (''MUST'')。Calling Library はアイテムの保存を要求しますが、有効期限を指定しない場合、または有効期限または TTL を null に指定した場合、Implementing Library は、構成されたデフォルトの期間を使用してもかまいません (''MAY'')。 デフォルトの期間が設定されていない場合、Implementing Library は、それを、アイテムを永久に(または基本となる実装がサポートしている限りの間)キャッシュする要求として、それを解釈する必要があります (''MUST'')。\\ \\ * **キー** -- キャッシュされたアイテムを一意に識別する少なくとも1つの文字の文字列。Implementing Library は UTF-8 エンコードで最大 64 文字の長さで任意の順序の文字、''A 〜 Z''、''a 〜 z''、''0 〜 9''、アンダースコア(''_'')、およびピリオド(''.'') の文字で構成されるキーをサポートする必要があります (''MUST'')。Implementing Library は、追加の文字とエンコーディング または より長い文字長をサポートする場合がありますが (''MAY'')、少なくともその最小値をサポートしなければなりません。ライブラリは、必要に応じてキー文字列の独自のエスケープに責任がありますが、変更されていない元のキー文字列を返すことができる必要があります (''MUST'')。 次の文字は、将来の拡張のために予約されており、Implementing Library によってサポートしてはなりません (''MUST NOT''):''{}()/\@:'' \\ \\ * **ヒット** -- キャッシュヒットは、Calling Library がキーでアイテムを要求し、そのキーに一致する値が見つかり、その値が期限切れになっておらず、そして他の理由で値が無効でない場合に発生します。Calling Library は、すべての get() 呼び出しで isHit() による確認をすべきです (''SHOULD'')。\\ \\ * **ミス** -- キャッシュミスは、キャッシュヒットの反対です。キャッシュミスは、Calling Library がキーでアイテムを要求し、そのキーの値が見つからない場合、値が見つかったが有効期限が切れている場合、またはその他の理由で値が無効な場合に発生します。 期限切れの値は、常にキャッシュミスと見なされる必要があります (''MUST'')。\\ \\ * **遅延** -- 遅延キャッシュ保存は、キャッシュアイテムがプールによってすぐには保存されない可能性があることを示します。いくつかのストレージエンジンでサポートされている一括設定操作を利用するために、プールオブジェクトは遅延キャッシュアイテムの永続化を遅延させる場合があります (''MAY'')。プールは、遅延キャッシュアイテムが最終的に永続化され、データが失われないことを確認する必要があります (''MUST'')。また、Calling Library が永続化を要求する前にそれらを永続化できます (''MAY'')。Calling Library が commit() メソッドを呼び出す場合、すべての未処理の遅延アイテムを永続化する必要があります (''MUST'')。Implementing Library は、遅延アイテムを永続化するタイミングを決定するために適切なロジックを使用できます (''MAY'')。 それは、オブジェクトデストラクタ、save() または タイムアウト または 最大アイテムスチェック時の全ての永続化、その他の適切なロジックです。遅延されているキャッシュアイテムに対する要求は、遅延されまだ永続化されていないアイテムを返す必要があります (''MUST'')。 \\ ===== データ ===== Implementing library の実装は、以下を含むすべてのシリアライズ可能なPHPデータ型をサポートする必要があります (''MUST'')。 * **Strings** -- PHP互換エンコーディングの任意のサイズの文字列\\ \\ * **Integers** -- 符号付きの64ビットまでのPHPでサポートされている任意のサイズのすべての整数\\ \\ * **Floats** -- すべての符号付き浮動小数点値\\ \\ * **Boolean** -- TrueおよびFalse\\ \\ * **Null** -- 実際のnull値\\ \\ * **Arrays** -- 添字配列、連想配列 および 任意の深さの多次元配列\\ \\ * **Object** -- ''$o == unserialize(serialize($o))'' のような、無損失性のシリアライゼーションとデシリアライゼーションをサポートするオブジェクト。オブジェクトは、PHPの Serializable インターフェース、''__sleep()'' または''__wakeup()'' マジックメソッド、または必要に応じて同様の言語機能を活用する場合があります(''MAY'') Implementing Library に渡されるすべてのデータは、渡されたとおりに返される必要があります (''MUST'')。それには変数の型も含まれます。つまり、(int)5 が保存された値である場合、(string)5 を返すのはエラーです。ライブラリの実装では、PHPの''serialize()'' / ''unserialize()'' 関数を内部で使用できますが (''MAY'')、必須ではありません。それらとの互換性は、許すことができるオブジェクト値の基準として単に使用されます。 なんらかの理由で正確に保存された値を返すことができない場合、Implementing library は、破損したデータではなくキャッシュミスで応答する必要があります (''MUST'')。 \\ ===== 主要な概念 ===== ==== プール ==== プールは、キャッシュシステム内のアイテムのコレクションを表します。プールは、プールに含まれるすべてのアイテムの論理リポジトリです。 キャッシュ可能なすべてのアイテムはプールからアイテムオブジェクトとして取得され、オブジェクトがキャッシュされたている全世界との対話は全てプールを介して行われます。 \\ ==== アイテム ==== アイテムは、プール内の単一のキー/値ペアを表します。キーは、アイテムの主要な一意の識別子であり、不変である必要があります (''MUST'')。 値はいつでも変更できます (''MAY'')。 \\ ===== エラー処理 ===== キャッシングは多くの場合、アプリケーションのパフォーマンスの重要なパーツですが、アプリケーション機能の不可欠なパーツであってはなりません。従って、キャッシュシステムでエラーが発生しても、アプリケーション障害にするべきではありません (''SHOULD NOT'')。 そのため、Implementing Library は、インターフェースで定義されたもの以外の例外をスローしてはならず (''MUST NOT'')、基礎となるデータストアによってトリガーされたエラーまたは例外をトラップしてバブルにしないようにすべきです (''SHOULD'')。 Implementing Library は、そのようなエラーをログに記録するか、必要に応じて管理者に報告するべきです (''SHOULD'')。 Calling Library が1つ以上のアイテムの削除、またはプールのクリアを要求する場合、指定されたキーが存在しない場合、エラー状態と見なしてはなりません (''MUST NOT'')。事後状態は同じ(キーが存在しないか、プールが空)なのでエラー状態ではありません。 \\ ===== インターフェース ===== ==== CacheItemInterface ==== CacheItemInterface は、キャッシュシステム内のアイテムを定義します。各アイテムオブジェクトは特定のキーに関連付けられている必要があります。これは実装システムに従って設定でき、通常は ''Cache\CacheItemPoolInterface'' オブジェクトによって渡されます。 ''Cache\CacheItemInterface'' オブジェクトは、キャッシュアイテムの入出庫をカプセル化します。 個々の ''Cache\CacheItemInterface'' は ''Cache\CacheItemPoolInterface'' オブジェクトによって生成されます。このオブジェクトは、必要な設定に責任を負い、オブジェクトを一意のキーに関連付けます。 ''Cache\CacheItemInterface'' オブジェクトは、本ドキュメントのデータセクションで定義されている任意のタイプのPHP値を保存と取得できる必要があります (''MUST'')。 Calling Library は、アイテムオブジェクト自体をインスタンス化してはなりません (''MUST NOT'')。それらは、''getItem()'' メソッドを介してプールオブジェクトからのみ要求できます。Calling Library は、ある Implementing Library によって作成されたアイテムが別の Implementing Library のプール と互換性があるとは想定しないでください (''SHOULD NOT'')。 ^メソッド^要約^ |getKey():string|現在のキャッシュアイテムのキーを返します。| |get():mixed|このオブジェクトのキーに関連付けられたキャッシュからアイテムの値を取得します。| |isHit():bool|キャッシュアイテムの検索結果がキャッシュヒットになったかどうかを確認します。| |set($value):static|このキャッシュアイテムが表す値を設定します。| |expiresAt($expiration):static|このキャッシュアイテムの有効期限を設定します。| |expiresAfter($time):static|このキャッシュアイテムの有効期間を設定します。\\ ($timeは現時点からの期間です)| \\ ==== CacheItemPoolInterface ==== Cache\CacheItemPoolInterface の主な目的は、Calling Library からキーを受け取り、関連付けられた Cache\CacheItemInterface オブジェクトを返すことです。また、キャッシュコレクション全体との相互作用も主要なポイントです。プールのすべての構成と初期化は、Implementing Library に任されています。 ^メソッド^要約^ |getItem($key)|指定されたキーを表すキャッシュアイテムを返します。| |getItems(array $keys = array())|走査可能(Traversable)なキャッシュアイテムのセットを返します。| |hasItem($key)|キャッシュに指定されたキャッシュアイテムが含まれているかどうかを確認します。| |clear()|プール内のすべてのアイテムを削除します。| |deleteItem($key)|プールからアイテムを削除します。| |deleteItems(array $keys)|プールから複数のアイテムを削除します。| |save(CacheItemInterface $item)|キャッシュアイテムをすぐに永続化します。| |saveDeferred(CacheItemInterface $item)|キャッシュアイテムを後で永続化するように設定します| |commit()|延期されたキャッシュアイテムを永続化します| \\ ==== CacheException ==== この例外インターフェイスは、重大なエラーが発生した場合に使用することを目的としています。これらのエラーには、キャッシュサーバーへの接続や提供された無効な資格情報などのキャッシュセットアップを含みますが、これらに限定されません。 Implementing Library によってスローされるすべての例外は、このインターフェイスを実装する必要があります (''MUST'')。 \\ ==== InvalidArgumentException ==== \\