Category:無題 2007-03-28

鉄は熱いうちに打て

来週から4月、新入社員を迎える季節です。私は現在、フリーランスの身の上なので無関係ですが、サラリーマン時代には、4月になると、新入社員を迎える心地よい緊張感があったような気がします。そして、この諺をよく思い起こしたものです。

「鉄は熱いうちに打て」

かなり昔のことだったと思いますが、テレビで時代劇を見ていた時、侍同士の会話で「古来より、鉄は熱いうちに打てと申しまする」というセリフが出て来ました。おや?と思いました。この諺は「Strike while the iron is hot!」を和訳したものなので、古来からあるはずがないのです。( でも、水戸黄門に登場するうっかり八平の「ご隠居、この旅籠(はたご)はサービスがよろしゅうございますなー」よりはマシと思います )

鉄製品を作るには2つの方法があります。鋳造と鍛造です。鋳造とは熱くなった鉄を鋳型に流し込む方法です。一方、鍛造は熱した鉄を何度も打って鍛え、望みの形を作る方法です。「鉄は熱いうちに打て」とは、勿論、鍛造を指しているのだと思います。しかし、お決まりの鋳型に新人を流し込んでいるような会社も多く見受けられます。

鍛造の日本人的イメージは、刀鍛冶です。刀鍛冶は、真っ赤に熱した鉄を何度も打って鍛え、望みの形にすると同時に内部の不純物を取り除き、より硬く仕上げて行きます。さらに、刀鍛冶は、打った刀を水に入れて急冷し、また熱くして打ちます。この再加熱の工程を「焼きなまし(アニーリング)」と言います。鉄は、再加熱して再び鍛えることにより、より硬くなります。

アニーリングを考えた時、「鉄は熱いうちに打て」は、必ずしも新人に対する言葉だけではないような気がします。この言葉は、旧人に対しての再教育についても当てはまりそうです。即ち:

「鉄は再び熱して打て」

再加熱して打つ事により、刀はより強靭となり、切れ味もより鋭くなるはずです。4月は新人・旧人、共に熱くなる季節ではないでしょうか。

補足

数値計算は一応私の得意分野(?)なので補足しておきます。「アニーリング」とは非線形の最適化計算でも良く使用する手法の1つです。(複数の局地解がある)多峰性の最適化問題の場合、ある局地解よりもさらに最適な解を探すときに「アニーリング」と呼ばれる手法を使って、より最適な解を探すための初期値を設定します。「アニーリング」は、遺伝的アルゴリズムの突然変異に相当し、種(しゅ)の保存になくてはならない機構です。鋳型から作った固体だけでは、集団を存続することはできません。なぜなら、周囲の状況がかわればその鋳型が使い物にならなくなるからです。ちょっと変わった固体を大切にしない集団はいづれ滅びます。集団のリーダーは変化の種(たね)を摘んではならないのです。


  • アニーリングの教訓のようには行きませんが、私も時節絡みの問題をコラムにしました。私の取り上げた対象は正反対でした。何かアドバイスがあればコメント下さい。 -- 大阪市在住 53歳男性 2007-04-04 22:49:16 (水)
    • 拝見しました。団塊の世代の所業がよくまとまっていて、大変よく分かりました。彼らこそ戦後を熱く生きた塊りだったんですね。続編期待しています。 -- y2sunlight 2007-04-04 23:10:16 (水)

最終更新のRSS Last-modified: Wed, 12 May 2010 08:59:57 JST (2750d)